何をもたらすのか

相互作用によってもたらされるアートへの影響力

インタラクティブ・アートの技術を学んでいる人も多くなっている中、改めてこのジャンルが台頭したことによってアート、美術などの芸術に対してどのような影響力を与えることになったのかというと、それまで触れることさえ許されなかった不可侵な存在であった芸術を、誰もが触れることが出来る新たなコミュニケーションの場として用いることが出来るようになったことだ。鑑賞者同士がコミュニケーションを用いるための媒介として利用できる、と言えば何となく想像もつくだろう。そうした干渉と感傷が重なり合うことによって、インタラクティブ・アートとして提示された作品の成長を促すことになる。これにより一個体として存在していたアートをより強い魅力を発揮させることが出来るようになっている。

またこうしたインタラクティブ・アートによってもたらされる影響力は他にもあると考えられている。その代表的な影響として3つ、

・コミュニケーションの媒介

・権威の破壊

・壁を崩す

これらによってもたらされるのは、『世界を円滑に結ぶことにより、平和で公平な社会を実現するために必要な要素を有している』、そう考えられるという。いわれて見ると確かにそうかもしれない、特に3つ目に紹介した『壁を崩す』という言葉で、一瞬筆者が思い出したのは1990年代に突入しようとする最中に起きた、ドイツのベルリンの壁が崩壊する出来事を連想した。安直かもしれないが、あれによって長年東西に分かたれていたドイツがようやく1つの国家としてまとまることに成功し、今現在でも東西それぞれにわだかまりを残してしまっているが、一応の解決を見られた。インタラクティブ・アートのことを分析していると、コミュニケーションの場として人と人との繋がりを強く証明している、そんな風に取れるのかも知れない。

こうした特性を持っているのを前面に押し出し、さらにメディアに対しても強い影響力を有していることからこの性質も同時に生かせれば現実の世界に強い影響力をもたらす作品を作り出すことが出来ると、そんな風にも考えている専門家はいる、ここまで来ると大層な理想論になってしまうため区切らせてもらうとして、果たしてそんな事が本当に可能なのだろうか。あえて伏せてきたが、当然このインタラクティブ・アートが抱えている問題はある。ではその問題とは何か、少し考察してみよう。


危惧すべきこと

インタラクティブ・アートの問題点として、主な原因となっている点はおよそ4つある。その問題点とは、次の通りだ。

インタラクティブ・アートの問題点

1:アートとゲームの境界線が曖昧になってしまう
インタラクティブ・アートが抱えているゲーム的要素はプラスでもあるが、同時にマイナスになっている。どんなに面白い要素が含まれていても、あくまで『芸術』であるということ、『美を追求している』ということを失念してはならない。ゲームの特性となっている『目的』・『勝敗』といったものに傾倒する事無く、鑑賞者に感動を与えることを優先した作品作りをしていなければならない。
2:情報量が通常よりも莫大に膨れ上がっている
親しみやすさがある分、インタラクティブ・アートが直接受けることになる影響力は尋常ではない。それこそ情報量は通常の芸術作品と比較にならなものが一斉に押し寄せていき、自由に参加できる反面、時に鑑賞者には何も考えさせないような強要をしている可能性も出てきてしまう。そのため相互作用をするにしてもその情報に耐えられるだけの体力を消費しまうため、労力が惜しまれる。
3:革新的な作品ばかりではなく、古典的な作品も考える
コンピュータ技術を用いることから現代ならではの作品ばかりになってしまうのは仕方ないとして、時には古典的な感性に浸ることを忘れてはならない。どんなにそのとき最先端の技術を利用して作り出しても、その後に生み出される技術を用いた作品が出てきてしまうと、先に登場した芸術作品の存在意義が薄れてしまう可能性が出てきてしまう。不変性もまた芸術において美とされていることを考える必要がある。
4:道具を使用することになるため、必然的に展示物は巨大になってしまう
最新のコンピュータ技術を用いること、またコールなどにも共通しているように、作品を表現するにはデジタル上の作品を表示するために必要な機材を取り揃えなければならない。そのため展示物は基本的に巨大になってしまうのも、このジャンルにおける欠点だ。またそうした特徴から訪れる来訪客も若者を中心としたものとなってしまい、ファン層が若年層で構成されてしまう。

インタラクティブ・アートに必要なこと

問題点としてあげた内容に関しては思い当たるところがあるだろう、親しみやすいからとはいっても限度がある。ゲーム性を有しているにしてもその真価に美という価値観が存在していなければ、通常のゲームと何ら変わりなくなってしまうからだ。いくら自由に参加できるとはいっても、神秘性を有していなければならない。芸術において最低限無くてはならない点を備え、そんな作品について他にどういった要素が加わればいいのかは、次のような物だ。

・複数名で楽しめる作品であること

・鑑賞者に新鮮な知識を与えることが出来る

・身体に複数の働きかけをする

・技術的な側面をなるべく感じられないようにする

こうした条件も考えながら作成すれば、鑑賞者も作品に迷う事無く干渉することが出来る。鑑賞行為が成立するために必要な要素はいくつもあるが、中でも鑑賞している人間同士の存在というものは何より優位するべきものとして考えなければならない。ただ一方的に関係するのではなく、お互いにそれぞれ関係性を築き上げることによって作品としてより豊かな感受性を伴っている作品を形成することが出来るという。インタラクティブ・アートというものも、作成する上では注意しなければならない点は山ほど存在しているということだ。