インタラクティブ・アートの歴史

積み重ねられた史録

現代の新たな芸術として成立しているインタラクティブ・アートだが、狭義とした見方にはコンピュータの出現によって可能となったジャンルであり、また作品を創造している作者だけではなく、鑑賞者も作品を作り上げる一人となっている参加型の作品だ。そんなインタラクティブ・アートの始まりを見るとそれは1970年代末頃を起点として、80年代初頭にかけて注目され始めたアートとなっている。それまではそんな芸術は理論さえ存在していなかったと読むことも出来る、明確に歴史の舞台にその足を踏み込んできたのが丁度この頃となっている。この当時からコンピュータならではの高速演算処理機能をベースとした、人間の身体や手足の動き、更に作品のイメージや音、そして動きにいたるものまで結びつけるインターフェースを仲介に立たせることによって生み出される、対話型作品がインタラクティブ・アートとなっている。

注目がされ始めたのはおよそこの頃からだが、それより10年ほど前に芸術に用いられるのではないだろうかと、そのような可能性が提示されていた。そして実験に実験を重ねたことによって形としてその枠を構成し、その時期になるとこれからの芸術において見られる新たな歴史の幕開けとばかりにその色を鮮明にして行くこととなる。

ただ芸術の創造行為そのものは元を辿れば、作者が大賞となる作品との対話をこなすことによって生み出され、そして出来上がった作品を鑑賞する際においても、鑑賞者が作品の意味や情感を自身の想像力を働かせてきたことに変わりはない。コレは先に紹介したように、インタラクティブ・アートだけが作品と鑑賞者の相互作用を必要としているわけではなく、芸術作品全般として考えた場合において相互作用なくして作品の完成を見る事はできないということは忘れてはいけない。

そうしたことを踏まえて考えれば、そもそも芸術作品と呼ばれるものすべてがインタラクティブ・アートだと断言することも出来るのだが、さすがにそれでは少々横暴が過ぎるためにいくら区分できるのであればしていった方が良い。精神面で相互作用するとしても、肉体面で作用するとは限らない。先に紹介したコーロやPureΦといったように肉体的にも、精神的にも作品に介入することによって、全く異なる作品を創りだせるものもある。そう考えると、非常に深いジャンルだと理解できるはずだ。現代でこそコンピュータなどを応用して作り出されているジャンルだが、その歴史を紐解くと何も現代だけに留まるわけではない、深い歴史を覗き見ることが出来る。

中世においても、理論として当てはめることは出来る

インタラクティブ・アートと呼ばれる物の歴史は今現在でこそ活気付いていると取れるかもしれないが、その始まりを見るとどのくらい先まで振り返ることが出来るのかというと、それこそ中世の時代にまで遡る事は可能だ。実際にそのころに作成された絵画なども鑑賞者が絵画を見てその意味を解読しようと積極的に介入するために必要なこととして、その頃から手段として利用されていた。この頃から騙し絵や隠し絵といったものを応用して作家が鑑賞者の興味をそそるものを作り出して、しきりに内面の対話を誘ってきているものもある。こうしたものも広く捉えるとインタラクティブ・アートとして分類することが出来るようになっている。

こんな歴史もあると考えられている

中世から既に言葉として成立していなくても芸術作品に鑑賞者も参加することによって成り立つと、そのように考えられていた。そんな意見に対してまた違った見解がある。とあるメディア・アート評論家は広義として1920年代に活躍した『マルセル・デュシャン』、また1950年代頃に活躍していた『ハプニング・アート』まで遡ることが出来るとも考えられると述べている。こうした意見については一理あるとする見方も出ていた。その理由として挙げられるのが、1950年代頃には伝統的な芸術運動が巻き起こっており、伝統的な芸術の権威主義に対抗するために誕生したと言われている側面もある。

この運動の最中に見る側に主体性を求めるインタラクティブ・アートが誕生したという風にも考えられ、またコレを無視して考えることも出来ない。それから60年代に入ると新しい芸術の見方として出てきたものもある。その例としては、

1:メディアという新しい力を人々が認知し始めたことで、五感を通じて世界を自分で再発見する参加性願望の誕生

2:従来のガラスケースにて陳列されるやり方ではなく、より革新的な参加性の概念を創造

といったような点で芸術も時代に応じて進化して行く必要があると考え始める人々が徐々に出てきたということになる。そうした流れを汲みながら、インタラクティブ・アートは更なる可能性を見出していくことになる。


現代美術としてのポジション

そうした歴史を刻み続けてきたインタラクティブ・アートと呼ばれる物は、現代においてどのようなポジションにいるのかを改めて考えてみようと思う。コンピュータ技術の発展によって新しい芸術ジャンルの可能性を導き出しているが、この発展と共にあらゆる技術の支援が重要な役割として果たされているというのだ。本来芸術と科学では求める点として、この先融合できる可能性を見出して行く必要がある。共通点がないように見える両者だが、実際に歴史を紐解いていくとそれぞれがお互いの位置している領域に干渉しあっていることは明白だ。

科学者でありながら芸術家としての顔を持ち合わせている研究者の作品が登場し、そしてその流れは先に紹介した久保田氏などにも同様にその流れに影響を及ぼされることになっていく。そうした中で非常に高い芸術作品も創られて注目を集め、世界的に評価された人も出てきたほどにその地位は芸術という分野において1つのジャンルとして確固たるものを築き上げることに成功した。そうして現在まで約半世紀ほどの時間を経過したインタラクティブ・アートと呼ばれる芸術ジャンルも知れ渡るようになり、長い歴史を有している芸術という学問の中で非常に新しく、そして現在までに全盛期を迎えている最中となっているのが、このインタラクティブ・アートであり、今世界で最も注目すべき芸術だと述べられる。