1-click Award

審査員インタビュー

山崎隆明
1.最近気になっているWEBのキャンペーンやサイト、サービスを教えてください。 

実は、あまりないんですよ。Webを見ている時間はけっこう長いんですけど、見るところは決まっていて、YouTubeとかmixi、Amazon、キーワード検索、あとは買い物。YouTubeの面白い映像などはお気に入りに登録していたりするんですけどね~。

────たとえばどういう映像が気に入っていらっしゃるのでしょうか。

今の若い人はパロディのセンスが非常にいいと思います。映画とかドラマとか、あるアイデアがあって、それをちょっとずらしてパロディ化している面白い作品がけっこうありますよ。自分が作ったCMもどんどんいじられてますしね。この前もホットペッパーのスヌーピーとカエラ篇CMのパロディを発見して、演出家の辻川幸一郎さんと一緒に「よくできてるな~」と感心していました。

────けっこう楽しんでいらっしゃいますね。

はい。全然Webを否定する気はなくて、さっき言ったように僕はWebの視聴時間も長いし、生活に確実に根づいているメディアではあるんですけどね。ただ、サイトと言われると、あまり気になるものがないというのが正直なところです。ましてや広告と言われると余計にそうですね。


2.広告を作るときに気をつけていることを教えてください。 

基本的には、広告なんて誰も見たくない、永遠の邪魔者ですから、見てもらうための工夫がすごく大事だと思っています。企業には言いたいことがいっぱいあるけれども、それが世の中の人に広まってはじめて広告は広告として機能するので、企業の言いたいことをいかに世の中の人が見たい、聞きたいものにするのか、という点は気をつけています。視聴者の目線で企画するということですね。特にメッセージを決めるときは、企業側ではなくて、「こういうふうに言われたら買う気になるかなあ」とか「企業を好きになるかなあ」とか、主体を自分において、1人の消費者として考えるようにしています。

────慣れてくると、どうしても作り手の視点になってしまいがちに思うのですが、
どうやって視聴者目線に戻るのでしょうか。

僕は別にそんなに才能があるわけじゃないんですけど、唯一優れているところを最近発見したんですよ。「プロ化」しないんですよね。学生の時にCMを見ていた気分で、そのまま今もCMを見ることができるというか。あまり制作者側に意識がいかないので、そこであまり苦労はしてないですね。

────じゃあ、ちょっといいなというCMをみても、
こういう仕掛けか、という風なことはあまり考えられないのですか。

それはあるんですよ。面白いCMをみたら、制作者として「やられた!」とか、これどうやって発想したのかなとは考えます。ですが、自分でアイデアを考える時は、比較的無責任に考えるクセがついていますね。若い頃にきっちり伝えなくちゃと思って、いっぱい失敗してきたからこそというのはあると思いますけど。正しいか間違っているかで視聴者は見ていなくて、生理的に本能的に惹かれるものがあるかどうかだけなんですよね。面白いとか、好きと思うことにあまり理由はなくて。普段、「右脳に向けて発信する」ように考えるという言い方をするのですが、やっぱり理屈で人を説得しようとしても説得できないし、まして広告は見たくないものですから、パッと見てかわいい、きれい、好き、面白いと思わせる、本能に届く表現じゃないとなかなか届かないんじゃないかなといつも思っています。自分も学生時代、テレビを見ていてそうでしたし。

────若い頃からそうだったのですか。

いえ、若いときはちゃんと仕事しなくっちゃというのがありましたね。クライアントからお金をいただいているわけですから、クライアントの方がこれとこれとこれが言いたいとおっしゃったら、ちゃんと言おうとしていましたよね。でも、世の中で話題にならなければ広告は機能しないわけですから、単なる告知じゃダメで、広がっていかないといけないですよね。だから、CMを流した翌日、小学校で子供たちが「あれ、面白かったよね」とか、CMの真似をしていたら成功だと思います。それはターゲットが大人でも一緒で、子供が反応するようなものを作ればいい。子供はすごく生理的な生き物だから、なんとなく真似したいから真似する。彼らは瞬時に判断します。それが達成できているものなら、大人にも深く届くと思います。

────本能に訴えようと思われるきっかけなんかはあったんですか。

僕はもともと電通関西の堀井組の系譜ですから、そういうことは、基本原則としてさんざん叩き込まれてきたところがありますからね。チームの中でも、表現のアウトプットは1人ひとり個性があるので、見え方はちがうかもしれませんが、根っこではみんなそのことは叩き込まれていますね。

────チーム内で共通言語はあったのでしょうか。

あまり深く考えすぎないということですね。いかに浅いところでユニークなものを作るかだ、とよく言われました。浅いものって、伝達力やスピードが速いんです。たとえば、赤くて丸い果物なら、リンゴってみんなが思いますよね。でも、それじゃあありきたりだと思って、他のものを考えようして、どんどん思考が深く深く入りがちなんですけど、そうじゃなくて、みんなが考えるリンゴのところでアイデアを考える。しかも、それを類型化していないユニークなアウトプットにすると、スピードが速くて、楽しく伝わっていくとよく言われていましたね。

────ユニークなものを発想するときに気をつけていらっしゃることは何でしょうか。

毎回必要に迫られて、たとえば明日までという締め切りのもとでジタバタしながら考えていますね。最初はまだ余裕もあって、商品まわりから発想したりするんですけど、それでは自分が設定するハードルに届かないことも多いわけです。そうなると、じゃあ何か面白いことないかな、とひたすら探すじゃないですか。そうやって一案一案、ジタバタする中で苦し紛れに考えているという感じですかね。ある企画の考え方があって、数式のようなものから答えを出しているわけではまったくないですね。行き当たりばったりです。

────ジタバタする時って、何をしていらっしゃるんですか。

YouTubeも見ますし、雑誌も見ますし、本も読むし、急に掃除しだしたりとかもします。商品とはあまり関連のないものに接するようにしています。発想というのは、飛躍とか意外性がすごく大事なので、商品と向かいあって考えていてもアイデアは生まれないと思っていて、もちろん商品から考えなくてはいけないけど、どこかでジャンプするタイミングが必要なんですよね。それは商品以外のところにあったりするので、そこと商品をうまくくっつけて、ユニークな形でメッセージが届くようにすると、意外性のある表現に見えるということですね。言うのは簡単ですけど、やっているときはしんどいです。


3. 1-click Awardで「こんな作品が見たい!」 というものは何でしょうか? 

すごく単純で、楽しいもの、インタレストのあるものがいいです。アイデアで人を驚かして欲しいですし、先ほどもいいましたけど、心の琴線に触れるもの、生理的に楽しい、キレイなどと思える本能に直結したものが見たいなと思っています。


4.では、最後に応募者へのメッセージをお願いします。

あまり難しいことは考えずに、仕事ではないので、気楽に楽しんで作ってくれたらいいんじゃないかなと思います。自分が楽しいと思えるかどうかが一番大事ですから。個人的には、複雑なものは疲れますので、それよりはパッと見て楽しいと思えるものを見てみたいです。

山崎隆明

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